いちご狩りの農薬が心配。子どもや妊婦さんへの影響は大丈夫?

週末は家族みんなでいちご狩り!

大人から子どもまで楽しめるいちご狩りは冬の人気スポットの1つです。

でも、家族にお子さんや妊婦さんがいると、農薬の安全性は気になるところですよね。

「いちご狩りの農薬が心配!」

「子どもや妊婦さんも一緒に行って大丈夫なの?」

今回は、そんなみなさんの疑問にお答えします。

目次

いちご栽培に農薬を使う理由

そもそもいちご栽培に農薬がなぜ使われるのか、根本的な理由を考えてみましょう。

いちごに農薬が使われるのは、虫もいちごを好んで食べるからです。

甘くて美味しいいちごは私たち人間だけでなく、虫も大好きなんですね。

そのためにたくさんの虫が悪さをします。

アブラムシ
ハダニ
ホコリダニ
アザミウマ
ヨトウムシ
ケムシ
ナメクジ

これらの害虫を駆除しないといちごの実が汚くなったり、収穫量が少なくなってしまいます。

またいちごは病気にも弱く、農薬を使わないとたくさんの病気が発生する可能性があるのです。

うどんこ病
灰色かび病
炭疽(たんそ)病
疫病
蛇の目病
萎黄(いおう)病
根腐れ病
ウイルス病

病気を予防する農薬や治療する農薬を使わないと、いちごは枯れてしまいます。

なので、農薬をまったく使わずに商業的にいちごを栽培するのは、ほぼ不可能です。

いちご狩り農園のいちごも同じように、ほとんどの農園で農薬が使われています。

いちごに使われている農薬の安全性は?

「農薬を使っているいちご狩り農園」と聞くと、なんだか悪い印象を抱きますよね……。

もちろん、農薬はいくらでも使っていいわけではなく、いちごを栽培するために守るべきルールがたくさんあります。

いちごを育てる生産者さんは、次のような法律を守って農薬を使っています。

「農薬取締法」

農薬の散布回数や使用量・濃度など安全な栽培方法について定める。

参考:農林水産省「農薬取締法について」

・「食品衛生法(ポジティブリスト制度)」

収穫した実に残っている『残留農薬』の基準値などを定める。

参考:厚生労働省「食品中の残留農薬等」

『残留農薬』については以下の通りです。

残留農薬

・⾷品中に含まれることが許される残留農薬の限度量

・残留基準を超える⾷品の流通は禁⽌

出典:厚生労働省「食品衛生法における農薬の残留基準について」

これらのルールは、全て科学的な安全性に配慮して定められています。

農協経由で出荷されるいちごは、残留農薬の検査をしていることが多いです。

なので、安全性が科学的に保証されています。

逆に言うと基準値以下の農薬の極々微量な成分はいちごの実に残っていて、私たちの口に入ってしまう可能性もあります。

ですが、いちごを含め全ての農作物には私たちの身体に悪影響がないよう、安全に配慮された農薬の残留基準値(食べても大丈夫な量)が定められています。

この基準値は、一日摂取許容量(ADI)を元に定められています。

一日摂取許容量(ADI) 

=ある物質について、人が生涯その物質を毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量のこと

出典:厚生労働省「食品関係用語集、ADI」

毎日食べ続けても大丈夫なら、安心して食べられますよね。

また、このADIの値は、農薬の胎児への影響も親から孫まで3世代に渡って調べた上で設定されています。

赤ちゃんや子どもに残留基準値以下の農薬付きのイチゴを食べさせてもいい?

いちごを食べる子ども

「残留農薬が基準値以下でも子どもの口に入れるのはなんだか怖い……」と感じる方も多いと思います。

その気持はよくわかります。

ですが、実は子どもの育児をする上では、農薬以外にも食べ物について基準値や許容量が存在しています。

例えば、 以下のような量が推奨されています。

※1日あたりの摂取量

・コーヒーや栄養ドリンクに含まれているカフェインは、最大45mgまで
・塩分は3.0〜3.5g未満(1〜2歳児)
・ハチミツは1歳未満に一切与えない

実は、摂取の基準値があるのは農薬だけではないんですね。

基準値というのは、科学的に安全性が認められたものです。

農薬を使っていたら全部ダメというわけではなく、ちゃんとルールを守って作ったいちごなら、お子さんが口にしても安全なんです。

妊婦さんに残留農薬の基準値以下の農薬付きのいちごを食べさせてもいい?

いちごを食べる女性

妊婦さんの中にも、「お腹の赤ちゃんのことを考えると、残留農薬が基準値以下であっても農薬を使って育てられたいちごを口にするのは抵抗ある……。」という方も多いと思います。

ですが、これもお子さんと同様、妊娠中に推奨されている基準値や許容量は農薬以外にも存在します。

例えば、以下のような量が推奨されています。

※1日あたりの摂取量

・カフェインは、コーヒー3〜4杯分まで(WHO, 2001)
・日本人がダシとしてよく使っている昆布は、味噌汁1杯分150mlまで
・アルコールは、15ml(ビール350ml 缶1本) 未満

先ほどお伝えした通り、農薬の基準値は、妊娠中の胎児への影響も調べた上で設定されています。

なので、農薬を使って育てられたいちごも他の食べ物や飲み物と同じようにルールを守って作られていれば、妊婦さんが口にしても問題はありません。

ほとんどの野菜や果物、お米も農薬を使って育てられている

それから農薬はいちごに限らず、ほとんどの農作物で使用されています。

スーパーで売っている野菜や果物、お米のうち90%以上が何らかの農薬を使って育てられています。

レストランやカフェ、コンビニなどで買って食べている食品にも、農薬を使って育てられている野菜や果物、お米などが使われています。

なので、いちごだけを必要以上に心配する必要はありません。

もし万が一、残留基準値以下の微量な農薬成分が健康に影響するとしたら、いちごよりももっと頻繁にたくさん食べている野菜やお米の方が影響が大きいはずです。

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いちご狩りの農薬で子どもや妊婦さんの注意点と対策

科学的に農薬の安全性は保証されていると聞いても、どうしても安心できない方もいると思います。

大切な家族のことを思うと当然のことですよね。

そのような方には、より安心でき得る3つの注意点と対策を紹介します。

事前にいちご狩り農園のホームページやSNSで農薬の使用状況を確認する

最近では、ホームページやSNSで農薬の残留検査結果や農薬の散布記録などを公開している農園も増えてきています。

事前に下調べをすることで、その農園の農薬の使用履歴を知ることが可能です。

農薬は、使用ルールを守っていれば科学的に安全性が認められています。

しかし、ルールを守っていなければ危険なものです。

ホームページなどで農薬の使用履歴がわかると安心ですが、すべての農園が情報を公開している訳ではありません。

心配な人は事前に農園のウェブサイトを確認したり、問い合わせてみてください。

農薬の使用量を減らす取り組みをしている農園へ行く

農薬の使用を減らしている農園もあります。

農薬の使用に制限がある「有機JAS」の認証を取っていたり、「特別栽培」の認証を取っている農園もあります。

例えば、化学合成成分の農薬ではなく、有機栽培でも使える農薬や食品由来の成分の農薬(デンプン、油、酢、重曹など)を使っている農園もあります。

さらに、天敵製剤といって、悪い虫を食べてくれる良い虫(カブリダニ、アブラバチなど)をハウスの中に放つ農園や、病気を抑える良い微生物(バチルス菌など)を散布する農園もあるんです。

紫外線を出すUV-Bライトを夜間に照射して病気や害虫を減らしたり、虫が嫌がる赤色LEDを昼間に照射したり、殺菌効果がある次亜塩素酸水を散布する農園もあります。

このような取り組みをしている農園は、その情報をウェブサイトで公開していることが多いです。

農薬の使用量が少ないのに越したことはないので、減らす努力をしている農園があるならぜひ行きたいですよね。

いちごを水で洗ってから食べる

農薬が付いていなくても、ホコリなどのごみが付いているかもしれませんし、知らない人が手で触ったかもしれません。

アレルギーや感染症の予防をすることで、デリケートなお子さんや妊婦さんを守ることができます。

その場で食べる場合には、水筒に水を入れて持っていくのがおすすめです。

もしくは摘み取り体験だけで、いちごは家に持って帰ってから食べるプランがある農園もあります。

その場合には自宅に持って帰って、家で水道水で洗って食べて下さい。

ただし、水で洗うと実の表面に水滴が付いて水っぽくなり、感じる甘さが弱くなります。

なので、キッチンペーパーなどで表面の水滴を拭いてから食べるのがおすすめです。

いちご狩りをしないという選択肢も

どれだけ科学的に安全だと言われても、精神的に不安を感じる方もいると思います。

安全と安心は別物ですよね。

そのような方は無理にいちご狩りをする必要はないので、いちご狩りをしないという選択肢も良いでしょう。

スーパーでオーガニック栽培のいちごを買ったり、自分で農薬を使わずにいちごを育てるのも楽しそうですね。

ただし、オーガニック栽培であっても特定の農薬は使用できますし、ホームセンターで購入できるいちごの苗にはすでに農薬が使用されています。

そのため、完全に農薬を使用していないいちごはほとんど存在しません。

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最後に

今回は、いちご狩りの農薬が心配!子どもや妊婦さんも一緒に行って大丈夫なの?などいちご狩りの農薬事情についてご紹介しました。

小さいお子さんや妊婦さんの口に入れるものには様々な配慮がされています。

同じように、農薬の使用量にも国やいちご狩り農園の配慮がされているんですね。

今はまだ、農薬を使っているいちご農園がほとんどです。

しかし、農薬の取り扱いにはルールがあり、科学的に安全性が保証されています。

ぜひ、お子さんも妊婦さんも家族みんなでいちご狩りへ出かけてみてはいかがでしょうか!

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